宣戦

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「あの状態を…あの姿を見せたのは翔太の気を引くため?それだけじゃない。私が一緒に来るのも予想して。わざわざ鍵を開けておくなんて、用意周到もいいところだね。本当は死ぬ気なんて無かったんでしょ?命を利用して人を振り回して…なんて弱くて愚かな行為!許される事じゃない!」 私は怒りに任せ、閉じ込めていた言葉を浴びせた。 「…弱くて愚かな行為?許されない?…正義感振りかざして、いつも人に求められる立場の人に何が解るの?欲しいものを何でも手に入れようとするあなたに、私を非難する資格なんて無いっ!」 一瞬にして彼女の表情が豹変する。 あの気持ち悪い程に作り上げられた笑顔は消え失せ、憎しみに満ちた目で私を睨み付けた。 「…何の話をしてるの?」 思いもよらない彼女の反応にたじろぎ、言葉を詰まらせた。 「分からないならいいです。これ、助けて頂いたお礼です」 彼女は大きく息を吐くと、手に持っていた四角い箱を差し出した。 箱にはケーキの有名店の名が記されている。 「ありがとう。白石さん、ちょっと外で話そうか。ここだと病院関係者が通るし・・・」 あれだけ二人で声を荒げておきながら今更? そう思いながらも、エレベーターが動く音にハッとし、彼女の手首を掴んだ。 次の瞬間、彼女は勢いよく私の手を振りほどいた。 『ドサッ』と、箱が床に叩き付けられ、中身が散乱したと分かる大きな音に目を丸くする。 「今日はこれで帰ります。また来ますから・・・今度はきっと、綾子さんが私に会いたくなると思いますよ」 彼女は床に転がる箱を見下ろし、冷ややかな笑みを浮かべる。
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