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翌日PM9:00。
風呂上がりの熱りを体に残したまま、冷たい空気に白い息を吐き坂を駆け下りる。
そして坂を抜けると、寮から少し離れた公園へと向かった。
シャンプーの香りのする髪を指でとかし、公園のフェンスに寄せ路駐をする一台の車に近づいた。
私を見つけた彼は、フロントガラスの向こうで優しく微笑む。
私は微笑みを返すと、助手席のドアを開けた。
「遅くなってごめんね、今日リーダーだったから残業多くて」
ここまで走った拍動なのか、緊張なのか喜びなのか…
胸が熱い早鐘を打つ。
少し照れた笑みを彼に向けると同時に、彼の唇が私の息を塞いだ。
唇を擦り合わせ互いの感触を確める様な口づけ…。
軽く「チュッ」と音を立てたキスの後、
「ただいま綾子。俺に会えなくて淋しかった?」
和馬は私の頬を撫でにっこりと笑った。
「…淋しくなかったよ。それどころじゃなかったもん…忙しくて」
彼の熱い感触が残る唇でふっと小さく笑い返す。
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