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「…一過性の適応障害を治す手っ取り早い方法はあるぞ」
和馬がぽつりと呟く。
「えっ?!」
和馬に視線を戻し目を見開いた。
「ストレス要因の除去。つまり、お前だよ…綾子。お前が彼氏を譲れば彼女は楽になれる」
なっ?!
「そんな…譲るって…?!翔太は物じゃないんだし、翔太の気持ちだってある。それに…」
「そんなイカレタ女に渡すものか!!…だろ?」
和馬は私の言葉を遮り不適な笑みを見せる。
「イカレタ女って…」
「彼女には確かに抱えるものがあるとは思う。でも、相手がどうなろうとお前には関係ない。看護師だからって、自分の男を狙う奴の精神状態まで理解しようなんてそれこそ医療者の思い上がり。奪われたくないなら、自分が陰で何してようが堂々としてろよ。悪女は悪女らしくその女と戦え」
悪びれもなく言い放つ彼を、唖然と見つめる。
「綾子、これだけは忘れるな。お前の居場所は「翔太」だ。俺じゃない。それを見失うと大切なものを失うぞ」
「…」
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