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「あのっ…ゆきさん、何かお手伝いできる事があればいつでも言ってくださいね!
それでは、用があるのでこれで失礼します!」
あたしは一気にそこまで言い切ると、がばっとお辞儀をすると回れ右してダッシュでその場を後にした。
微妙に、いやガッツリ先生に睨まれていたけれど、今はそんな事は御構い無しに廊下を走っていた。
先生って…あんな顔して笑うんだ。
いや、笑えるんだ。
なんだ。
全然大丈夫じゃね?
うん、そうだよ。
あたしなんかが心配する必要無かったんだってば。
「おい」
「…………」
「おい!」
「………」
「何ぼーっと突っ立ってやがんだよ?!」
ごちぃぃぃんっ!!!
「い!っっったぁ!!」
頭のてっぺんに走った痛みに我に返ると、目の前には高杉の姿。
あたしは気がつけば広間の前まで戻っていて、自分がぼーっとしていた事にようやく気づいた。
「なんだ。高杉じゃん。
てゆーか、今あたしの頭に打撃加えたよね?だよね?」
「あぁ?こんな廊下のど真ん中でぼーっと突っ立ってやがるからだろぉ?」
人の頭をいきなりど突いておいて、全く悪びれる様子も無い高杉。
ほんと、良い性格してるよ。
「まぁ、いいや。
さぁてと、さっさと約束通り決着つけようか?」
あたしは、ど突かれた云々より高杉と決着をつけることにテンションが上がり、にぃっと口角を上げて笑っていた。
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