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母屋を出て、日課の稽古をするべく隣の道場へと向かう。
道場を閉めてからも、朝と学校から帰宅してからの練習を欠かしたことはなかった。
道場の真ん中で正座して目を閉じる。
深呼吸をしながら精神を研ぎ澄ましていく。
目を開けて竹刀を取り立ち上がる。
ヒュンッ!
ヒュンッ!
と、竹刀が空を切る音が心地良い。
お爺が死ぬまでは大会にもたくさん出ていて、あたしが優勝する度に嬉しそうに「まだまだ精進じゃ」ってお爺言ってたな…
そんなお爺が中学生の部で全国優勝した時だけは珍しく褒めてくれたっけ…
いけない。
集中しろ、あたし。
その後も静かな道場にあたしが振る竹刀の音だけが響いていた。
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