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そして学校が終わった放課後の事。
佐藤祐太は友達を含めた4人の集団で下校する際に、不良集団約10名程に囲まれた後輩少年の姿を見てしまった。
学校内でも噂になっていた後輩の少年の事を知らない者は居ない。
もちろんそれは佐藤祐太もそうだった。
友達三人はそれを見て物騒に思ったのか、見て見ぬ振りをしてそそくさと背を向けて歩きだす。
だがその中で、立ち止まった人間が一人居た。
殴られ、蹴られと散々な目になっている後輩少年を、見捨てるわけでもなく、ただ真剣に見つめる佐藤祐太。
友達の三人は真剣に見つめる佐藤祐太を見て、しまったと思ってしまった。
それは佐藤祐太が"真面目過ぎた"から。
馬鹿正直な程に真面目な佐藤祐太は困った人を見ると何が何でもつい、助けてしまうという良くも悪くもある性格をしていたのだ。
表面上は誰もが良い性格だと思うのだが、佐藤祐太は自分の身すら惜しまずに助けてしまうものだから色々と難があったのだ。
不良集団に囲まれ、暴力を受ける者が困っていない訳がない。
それが仕組まれた事なら尚更だ。
佐藤祐太の瞳を見る限り、彼は不良集団から後輩少年を助けようとしている。
それを友達三人は確信していた。
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