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例え、自分の身体が大きな怪我をしても、それでも人を助けた事のある佐藤祐太には不良集団に殴られてでも、後輩少年を助ける為ならば簡単にその身を傷つけるつもりだ。
今までの佐藤祐太の経験がそうさせる。
骨まで折った事のある佐藤祐太に集団暴力など屁でもないのだから。
友達三人は辞めさせようと説得したが、佐藤祐太は聞きはせずにすぐそばにあった水入りバケツを手にゆっくりと不良集団へと近づいていく。
そしてそれを不良集団にぶちまけたのだ。
水をかけられた不良集団は笑って見過ごす訳もなく、佐藤祐太へとターゲットを変更する。
佐藤祐太は不良集団を馬鹿にするように笑いそのまま背を向けて走り出すと不良集団はそれを追いかけていく。
これこそが佐藤祐太の狙いだった。
怒りの矛先を自分に向ける事で、感情に任せて動く暴力的な猿を後輩少年から遠ざけ、暴力を止める。
後は自分が不良集団から全力で逃げ切れば済むだけの話なのだから。
佐藤祐太は走りながら手を空高く伸ばしながら、横に大きく振る。
不良集団は更に舐められたと思い、猿のように大きな声で叫びながら追いかけていくのだが、後輩少年はその姿を自らに向けられた挨拶のように思えた。
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