闇に生きる者達

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それから佐藤祐太は不良集団から逃げ切ったのだが、彼がニートとなった理由はこれからの悲劇にあった。 当然その後が穏便に済む訳がない。 学校内の不良集団にこの出来事は伝わり、ターゲット後輩少年からいつの間にか佐藤祐太へと変わっていた。 学校に行く度に殴られ、蹴られる毎日。 だが単位を落とす訳にはいかず、学校は休めない。 佐藤祐太に関わっていた者も数人被害にあった事から、彼の友人も知り合いも次々と自らの元から去っていく。 たった一人の少年を救った事で自らの身体も友も傷つき、更に喋る相手すら居らず、喋りかけてくる声は不良からの罵声と暴言のみになった。 一人の少年を救ったのに、次は自分が救われなければならない立場となってしまった。 そして佐藤祐太は今までの自らの行為を馬鹿馬鹿しく感じてしまったのだ。 どれだけ人を助けても、どれだけ人を幸せにしても、自分には何も起きず、ただの不幸しか返ってこない。 助けられもしない。 当然だった。 自分を助ける事に皆はメリットが無く、デメリットしかないのだから。 思い返してみれば、今までの自らが行なってきた人を助ける行為にもメリットなどあったのだろうか。 返ってくるのはたまにある"ありがとう"という言葉だけ。 怪我や精神的ダメージもあり、時には感謝の言葉も無かった。 そんな損な事をした結果がこれ。 そう思った瞬間から彼は落ちぶれていった。 親から向けられるプレッシャーで単位を落とす事の出来なかった彼は全身に痣を残しながらもなんとか卒業。 だが彼の負った精神的ダメージと身体的ダメージは大きなものだった。 人を助ける事の無意味さと、感謝の無さ、そしてなにより自らに背負わされる全ての不幸。 それから彼は人間不信になり、大学も行かず、就活活動もせず、家に籠るようになった。 当然親からもゴミのような目で見られ、"産まなければ良かった"という言葉に彼は完全に全ての人間関係を遮断してしまった。
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