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放課後を知らせる予鈴が聞こえる。多分五時位であろう。さて、今日は何日の何曜日だったか。そんな事を考えるくらい平和であった。
「おーい。透火ー。起きてるかー?」
ふと気がつくと友人が呼んでいる。
「やっと気付いたか。ほんとよく寝るよなお前」
こいつは縁。恐らく、付き合いが一番長い友人である。
『別に寝てねぇよ。ちょっと考えてた』
「考えてた?何を?」
『何をって、色々だよ』
「ふーん、よくわかんねぇや。とりあえず帰ろうぜ」
『ん、あぁ』
荷物を持ち席を立つ。教室を出て階段を降り、昇降口へ。そこで下足に履き替えて学校を出た。
「なあ、この後暇?」
『別に。何かあんの?』
「一狩り行かねえ?このまま帰っても暇なんだよな」
『またそれか。まあ、いいけど』
「マジ?サンキュー!」
この一狩りとは、最近発売された人気ゲーム〈螺旋剣舞〉の事である。
俺達は二人で買って二人で攻略するという方法をとっていた。
「場所どうする?」
『うちくる?今誰も居ないし』
「なんかあったの?」
『仕事。しばらく戻ってこないらしい。ったく、子供置いて二人で行くなんて……』
「大変だな。お前も」
『まあな。でも慣れたよ。いざとなればお前も居るし』
「俺を頼りにする気か?」
『おう。っと、着いたぜ』
なんだかんだ話しているうちに家に着いた。もうヘトヘトである。
じゃあ何で歩くかって?行きは歩きが楽なんだよ。
「大丈夫か?」
『あー……ちょっと休めば……縁、ジュース持ってきて……』
「ここお前んちだろ!?」
『細かい事は気にすんなよ……モテねぇぞ……』
「うるせぇぞチビ」
『んだとコラァ!』
「じゃあ今年のバレンタインチョコ何個だ!?」
『47個!』
「そこから家族、友達、男から貰ったのを引け」
『32個!お前何個だよ!』
「56個ー!過去最高記録ー!」
『はぁ!?嘘だろ!?』
56個!?遥かに遠い数字!
「隣のクラスの女子がすげぇんだよ!この学校のランキングつけててさ!」
『お前何位!?』
「1位!(389人中)」
『マジで!?俺はどうなの!?』
「9位……かっこよさランキングならな」
『もうちょっと……!……って、かっこよさ?他あんの?』
「かわいさ……いわゆる男の娘ってやつ」
男の娘……ランクインしたくないな……
「ちなみに俺は165位だった。お前は……」
『俺は……?』
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