第1話

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他愛も無い話をしているうちにクエストが始まった。画面の中では、俺のキャラクター、[零]と縁のキャラクターである[五月雨]が目標目指して走っている。 神影龍の狩猟。気をつければ余裕で勝てる相手だ。 しかし、今回は何かが違った。俺は狩猟には自信がある。縁だってそうだ。でも、その二人がいくら攻撃を浴びせようと奴はびくともしなかった。 「何だよコイツ…攻撃効いてねぇ…」 『おい避けろ!』     ー五月雨が力尽きましたー 『くそっ!効けよ!何なんだよコイツ!縁!速く戻って……縁?』 縁は突っ伏せたままぴくりとも動かない。 『おい縁!おき……』      ー零が力尽きましたー 『!?』 自分のキャラクターが力尽きたと同時に凄まじい衝撃が身体中を駆け巡った。あまりの衝撃に耐えかねた俺は、そのまま意識を失った。 そういえば、最近ニュースで見たっけ。 連続失踪事件があったって。で、被害者に共通する事は全員この〈螺旋剣舞〉のプレイヤーだってこと。 ……考えても今更遅いか。 ………………………………………………………… …………………………………………… ……………………………… 『う……』 数分間寝ている間に何が起きたか解らない。しかし、俺が目覚めた時に見たものは、さっきまで自分が居た部屋ではなく、広大な土地だった。その土地は、ゲーム内のステージ、《絶海の孤島》に似ていた。と言うか、《絶海の孤島》だった。
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