4人が本棚に入れています
本棚に追加
『──んじゃそういうことで。詳細は任せるからな! よろしく。我が親友よ!』
「ちょっと、おいっ!」
そんな叫びもすでに遅し……。通話の途切れたスマホを睨んで、柚木貫次(ユノキカンジ)はため息ひとつ。
表示されてる“如月陽司(キサラギヨウジ)”に触れかけて、やっぱり諦める。
だって、通話終了と同時に電源落としてるか、着信拒否してるのは間違いないもの。
親友だなんて思ったことない相手だが、そのくらいは分かるんだ。
「で? どうしたのよ?」
「ああ、陽司のヤツがな……」
自分に対する問いに普通に応えかけて、ふと貫次の眉間にしわが寄る。
「なんでお前がここにいるんだよ……」
“ここ”とはすなわち貫次の自宅だ。
んで、“お前”ってのは長篠友美(ナガシノトモミ)その人。
ちなみにふたりは恋人同士でもなきゃ、家に招待するほど仲良くもない。
最初のコメントを投稿しよう!