⊿面倒事は突然に……

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「あー、良かった。お姉ちゃん、手伝ってー」  そんなところに元気な声とともに飛び込んできたのが秋菜ちゃんだ。  贔屓目じゃなくても可愛い女の子なんだけど、髪の毛がわしゃわしゃになってる。 「ちょっと、髪爆発してるわよ。どうしたのよ、もう……」  言葉とは裏腹に友美の口調と表情は優しさに満ちてた。  一人っ子の彼女にしても、秋菜ちゃんは妹みたいな存在なんだよ。  髪の毛を梳いてもらいながら、秋菜ちゃんの手は友美の上着のすそを握ってる。  それはね、心からの信頼の証なんだ。  そんなふたりの様子を見やって、貫次が口元に小さく笑みを浮かべる。  秋菜ちゃんが今、こうして元気な姿で笑ってることが、どんだけスゴイことなのか分かってるからね。  本当の両親の死の記憶……。  乗り越えるには……、たぶん貫次の優しさだけじゃ足りなかったかもしれないからね。  左手だけにはめられた指先に穴の開いた皮手袋を一瞥して、貫次はパソコンに向かった…………。
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