名前で呼んでよ、からの・・・

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和歌の手にぶつかった額を右手で押さえて、左手で室内に促す。 『どぉぞ。でもちょっと待っててくれる?』 奏悟の部屋に向かって歩き出そうとした私の手を和歌にグッと掴まれた。 「待って!奏悟を静かにさせたいんでしょ?じゃあ入って。」 と言って 「じゃあお邪魔しまーす。」 とわざわざ挨拶して入ってきた。律儀な。 「で、勉強どうなの?」 奏悟を静かにさせてくれるんじゃないの?意味不明だけど、とりあえず答える。 『今は日本史を暗記してたところ。せっかく集中してたのに、奏悟の変な歌が』頬を膨らませて不満をぶちまけた。 クスッと笑い 「そっか日本史ね…数学に挫折したんだ?」 ギャア!なぜそれを!? 和歌の視線は乱暴によけられた数学の教科書類に釘付けだ。 「さっきの雄叫びは、これ?」 と言って教科書をパラパラ捲る。
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