名前で呼んでよ、からの・・・

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「どの辺りがわかんないの?」 立ったまま教科書を見ている和歌の手元を覗いて、 『ええとねぇ、もうちょい先の…この応用のあたりから』と指をさす。 「ふぅん…とりあえず座ってさっきまで書いてたノート見せて はい、座って」 そう言って椅子を引いてくれる。 ノートを見せると手に取って真剣な顔で眺める。 「あぁ、ここか」 そう言って机にノートを置くと指をさす。 「ここのところ。 当てはめる公式自体を間違えてる、だから解けない。」 説明しながら自分の前髪をスッとかきあげて、ピンで留める。 嘘みたいにキレイな顔が露になる。 長い前髪は普段顔を隠すのに必需品だと言っていたっけ、もったいない。 ノートを指さしている手の、男の人っぽい筋に惚れ惚れする。 「こら、聞いてるのか?」 『あだっ!』 軽くチョップされた。 女子にチョップって…
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