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あれから一週間経った。鈴那は職を探すわけでもなく、毎日家でダラダラ過ごしていた。
何もやる気が起きない。
加藤に振られた事が、強烈なダメージとなっていた。
寂しくて眠れない日々、何度か電話をかけてみたが繋がる事はなかった。
寂しさを紛らわせるために、お酒に走る。1日何本飲んでるのか、分からないくらいゴミ袋はもうパンパンで、テーブルの上にも空き缶が並んでいる。
ビールもなくなり、また近くのコンビニに買いにいく。
フラフラする足取りで、コンビニを目指していた。
「あれ、鈴那ちゃんじゃない?」
そう声をかけられて振り返ると、そこにいたのは元職場の仲の良かった佐々木さんだった。
彼女は鈴那の1つ歳上で、のほほんとしていて可愛らしい女性だ。
「あれぇ、佐々木しゃん?」
呂律が上手く回らない、そんな鈴那を見て、
「相当酔ってるみたいね、大丈夫? あんな事があった後だもんね、大変だよね」
身内が亡くなった事になっているため、そう言われた。
「もうだいじょうぶれすよ」
そう笑顔で答えると、
「そう」
酔っている理由はきいてこようとはしない。多分佐々木からしたら、身内の不幸をまだ受け止められずにいるとでも、思っているんだろうと鈴那はそう思っていた。
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