3/30
233人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
そう綺麗に書かれた字。綺麗な字を書く男のひとが周りにいなかったため、珍しかった。 「綺麗な字……」 そう呟きながら、玄関へといき新聞受けから鍵を取った。 丁寧に番号とアドレスの書いてある紙を持ったまま、冷蔵庫開けて水のペットボトルをだし飲む。 しばらく紙を見つめた後、お礼は言っておくべきだと携帯を手にとった。 きっと仕事中だろうとメールを作成する。 『昨日はどうもありがとうございました。変な事は考えてません』 そう打ち送信した。 桐島という男の顔を思い浮かべ、昨日話していた事を思い出した。 亡くなったという友人の話しだ。桐島はとても苦しんでいるようだった。 「私と似ているか……」 そう呟いて苦笑いしたあと、酒に溺れてはいるが自殺は考えたりしないと思った。 「なんで私が」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!