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会社に戻り、愛美と桐島のことを考えないようにと仕事に集中するのは簡単なことではなかった。仕事が終わる頃には、いつもの何倍もの疲労感があった。
「……なんか疲れた」
仕事が終わり、みんなが帰っていく中、デスクの片付けをしながら、鈴那はボソッと呟いた。
隣の愛美も帰る準備を始めている。何だか嬉しそうだ。
「じゃあ、鈴那さんお先に失礼します。お疲れさまでした」
「お疲れさまです」
愛美はいつもと同じように佐藤と桐島の元へ行く。桐島と愛美が楽しそうに話す光景を凝視してしまいそうだったから、鈴那は給湯室へと避難した。
冷たい水をグラスに注ぎ、一気に口に流し込む。あまりすっきりしたわけではないけれど、さっきよりはいくらかマシになった。
「あの桐島さんが……」
考えてしまうのはそのことばかり、。考えたくなくても、二人が絡まるシーンを想像してしまう。またグラスに水を入れて、一気に飲み干した。
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