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自分の想像力の豊かさを、この時は最悪だと思った。
早く帰ろう……。デスクに戻りながら、周りの様子を確認した。まだ愛美は桐島のデスクの前にいる。思わず鈴那はゴクリとつばを飲み込んだ。鞄に荷物をしまい、佐藤のデスクに行く。
「お疲れさまです」
「お疲れ。今日の鈴那ちゃんはすごく頑張ってたね。めっちゃ仕事が早いからビックリしたよ」
佐藤には頑張っているように見えたのだろうが、鈴那にしてみれば、ただ無心に資料を打ち込んでいたにすぎない。
「何だか、調子がとてもよかったんです」
そう笑顔で言ったものの、隣の二人が気になり顔が引きつってしまいそうだった。
「疲れたでしょ。大丈夫?」
「はい。大丈夫です。では私はこれで」
「はいはい、じゃあ、また月曜日ね」
明日が休みで良かった。そう思いながら、鈴那は楽しそうに話している二人に近づき、短めに挨拶をして、足早に出口に向かう。
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