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職場の給湯室で、桐島と鈴那は二人きりになった。
「愛美さんとは身体だけの関係だって」
鈴那は悲しい顔で呟いた。
「桐生はアイツの言葉を信じるのか?」
「だって、愛美さんが嘘をついているとは……」
「俺を信じるか、あいつを信じるかは桐生の自由だから仕方ない。まぁ、もし関係があったとしても、君には関係ないからな」
その言葉が鈴那の胸をちくりと刺した。確かに関係ないかもしれない。それなのに、なぜこんなにも胸が痛くて苦しいのだろう。
「関係ないかもしれません。けど……」
「けど、なに?」
そう言って、桐島が鈴那に詰め寄ってくる。
「私は嫌です。桐島さんがそういうことをするのは……」
尚も桐島がジリジリと近づいて来る。鈴那は後ろへと逃げるが、狭い給湯室ではすぐに背中が壁にあたり、逃げ場がなくなった。
「いやね……」と、桐島が意味ありげに口角を上げる。
「そうです……」
「桐生は俺のことがすきなわけ?」
「えっ?」
心臓がバクバクと大きな音を立てる。息が苦しい。
「顔赤いよ。図星だったかな? それなら、ご褒美をあげよう」
そう言ったかと思うと、桐島の指が鈴那の顎を捉えた。
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