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「でも、そんなのすぐに上辺だけってバレない?」
「それがバレないんですよね。みんな演技がうまいから」
「そう……」
そういえば、ここに入社してから先輩たちと話すのは仕事の話以外はない。男性たちは無口だし、女性たちはいくつかのグループに別れていて、普段は取りつく島もない。
昼休みは、時計のアラームの音とともにみんな素早く散るから、いつも鈴那は取り残されていた。
「ここだけの話。先輩たちって、ちょっと怖いんですよね」
愛美がぼそっと呟いた言葉に、鈴那は少し背中がぞくっとした。
「そんな風には見えないけど……」
「女は怖いですよ。影で何言われているかわかったもんじゃないです。鈴那さんも気をつけてくださいね」
確かに女というのはそういう生き物だと、鈴那は苦笑いした。
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