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「ため息なんかついて、何かあったのか?」  心臓が大きく跳ねた。このシュチュエーションだと、考えたくなくても夢のことを思い出してしまう。 「いえ……別に何も」 「悩みとか?」 「本当に何もないです。気にしないでください」  早くこの場から逃げ出したい。鈴那は湯呑にお茶を入れ、桐島に渡した。 「ありがとう」 「……いえ」  自分の分を取り、早くデスクに戻ろうとしたけれど、焦ってしまい、お茶を手にこぼしてしまった。 「あつっ」  鈴那はすぐに手を引っ込めたが、桐島がその手を掴み、蛇口を捻って流水にあてた。 「大丈夫か?」 「はい。大丈夫です」  そう言っても桐島は掴んだ手を離そうとしない。
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