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マンションの一室。白いシーツにシワが寄り、二つの身体が重なる。湿った音。荒い息。そこに愛はない。行為を終えた二人は、天井を眺めて一息ついた。
「桐島さんの匂いが好き……」
「そう?」
腕に手を絡め話す愛美は、桐島に身を寄せている。
「桐島さん……」
「なに?」
「いつまでこの関係続くとおもいます?」
桐島は少しの沈黙の後、「どちらかに好きな人ができた時じゃないか?」と答えた。
「そっか……」
愛美は唇を噛み締めた。桐島を見る愛美の表情は、恋している女の顔だった。
「たまにはキスしたいよぉ~」といった、上目遣いで甘える愛美に、「ダメだ。約束だろ?」
と、桐島は突き離した。
「う~ん。でもやっぱり物足りないです」
そう言って唇を寄せてくる愛美を、桐島はクスクスと笑いながら、「ダメなものはダメ。物足りないなんて失礼なヤツだな。そう言えなくしてやるよ」と言って、愛美の上になり胸に顔を埋めた。
そして二人は何度も重なり合い、愛美が漏らす甘い声が、部屋を満たした。
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