5/28
200人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「桐生、俺は桐島だ。勘違いするな……」 「ん……っ、桐島さ……ん?」 「そうだ」  それでも鈴那は離れようとしなかった。しかし気が付くと、鈴那は小さな寝息を立てていた。どうやら眠ったらしい。桐島はゆっくり鈴那の手を解くと、静かにベッドへ寝かせた。鈴那の長い髪の毛がベッドの上に広がる。艶やかなその髪に桐島は思わず触れていた。  携帯のアラームで鈴那は目を覚ました。自分の家だと理解できたけれど、どうやって帰ってきたのかわからない。ベッドから起き上がりテーブルを見ると、前にも見たことのある光景があった。テーブルの上に紙切れが置いてある。  紙切れを見ると桐島からだった。遅刻しないようにということと、勝手に鞄から鍵を取った。鍵はポストに入れておく、とかいてあった。  また迷惑をかけてしまったのだと反省しながら、鈴那はポストに鍵を取りに向かった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!