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「桐生、俺は桐島だ。勘違いするな……」
「ん……っ、桐島さ……ん?」
「そうだ」
それでも鈴那は離れようとしなかった。しかし気が付くと、鈴那は小さな寝息を立てていた。どうやら眠ったらしい。桐島はゆっくり鈴那の手を解くと、静かにベッドへ寝かせた。鈴那の長い髪の毛がベッドの上に広がる。艶やかなその髪に桐島は思わず触れていた。
携帯のアラームで鈴那は目を覚ました。自分の家だと理解できたけれど、どうやって帰ってきたのかわからない。ベッドから起き上がりテーブルを見ると、前にも見たことのある光景があった。テーブルの上に紙切れが置いてある。
紙切れを見ると桐島からだった。遅刻しないようにということと、勝手に鞄から鍵を取った。鍵はポストに入れておく、とかいてあった。
また迷惑をかけてしまったのだと反省しながら、鈴那はポストに鍵を取りに向かった。
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