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自分はどうしてこんなに親不孝なのだろう。突然帰って、妊娠しましたと報告する。それに加えて父親はいないというのだから、勘当されるかもしれない。でも、黙っているわけにはいかない。緊張で手に汗がにじむ。バスの中……頭の中でずっと、どう伝えようかと考えていた。
「ただいま」
「おかえり。突然帰ってくるなんて、何かあったの?」
玄関で出迎えてくれたのは、母だった。
「ん? なんで?」
「だって、あんた、何かあった顔してる。その顔は親を困らせることだね」
女の勘というが、本当だ。
「……そうかもしれない」
確実に困らせる内容なのに、少し濁らせた。父が仕事から帰ってくるのを、母と夕飯を一緒に作りながら待った。
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