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 「あなた、お腹に赤ちゃんがいるの?」  母に言われて、鈴那は黙って頷いた。しばし沈黙が流れる。  重苦しい雰囲気を破ったのは、「相手は?」という母の言葉だった。  鈴那がようやく顔をあげて、力なく首を横に振ると、「どうして!?」と顔をしかめた。  鈴那は覚悟を決めて真実を話した。母は黙って聞いていたけれど、その顔は怒りや悲しみ、失望といった、いろいろな表情が入り乱れているようだった。 「ごめんなさい。私がいけないのは、十分に分かっています。でも、どうしてもこの子を産みたいんです」  最後に自分が産みたいと思っていることを正直に伝えた。 「でも、相手はこのことを知らないんでしょ? それに相手の家庭を壊すようなことをして、幸せになんてなれないわよ」  母の言葉は間違ってはいない。胸にグサッと突き刺さったけれど、それは重々承知の上だ。 「相手には言わないし、認知してもらおうなんて考えてない。私が一人で育てていく」 「あんた、何言って……」血相を変えて言う母を遮って、鈴那は「そう決めたの!!」と、叫んだ。
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