109人が本棚に入れています
本棚に追加
「私……産むから」
「順序が違うだろう!!」
父親の声はいつもより大きくなっていた。
「とにかく相手を連れてこい!」
相手を連れてくることができない理由。そして、シングルマザーとして育てていくことを話すと、父の顔は見る見るうちに真っ赤になっていった。
「そんなことは接待に許さんぞ!」
「でも私、絶対に産むから!」
バチンっ!!と、音が響くと同時に、鈴那の頬に痛みが走った。
「お前は子育てがどんなに大変なのかわかってない」
そう言い捨てて、父は席を立った。母は一部始終を黙って見ていた。
反対されることは覚悟してきたとはいえ、それが現実になると鈴那はとてつもない暗鬱に襲われた。
最初のコメントを投稿しよう!