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「やっぱり……いつもの桐島さんじゃない」  桐島はその手を取って強い視線で愛美を見つめ返し、「本当の俺をしっているのか?」と返した。  悲しそうな顔をした愛美は、桐島に抱きついた。 「桐島さ……ん」  二人は流されるままに身体を重ねた。桐島に抱かれながら、愛美は涙を流していた。桐島は愛美の涙を見て、ひとつの答えを導き出した。  となりでは愛美が気持ちよさそうに眠っている。桐島はそっと手を伸ばして髪に触れてみたが、彼女はピクリとも動かない。桐島はベッドを抜け出し、寝室を後にした。  冷蔵庫からビールを取り出そうとおもったが、扉をとじた。リビングへ行き、サイドボードから一番アルコール度数の高いバーボンを取り出して、ストレートで一気にあおった。 「俺って勝手だな」と、心の声が口から飛び出した。  結局、欲を吐き出すことができても満たされることはない。自分は何がしたくて、こんな関係を続けてきたのだろう。愛美の気持ちには気づいている。しかし、それに答えられない以上、彼女を開放してあげなければならない。  桐島はもう一度ストレートでバーボンを流し込み、寝室へと戻った。
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