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「でも……」
そう言われも、それはそれで余計に申し訳ない気持ちが募る。
「今は自分と赤ちゃんのことだけ考えていればいい。わかったか?」
「わかりました」
鈴那はそう答えるしかなかった。
あれから一週間。鈴那は休みをもらい、家でごろごろ過ごしている。安静にしているから、お腹の張りも少ない。医師からは張ったら安静にするように、との指示だけだったので、なんだか休んでいることが申し訳ないけれど、赤ちゃんのことを考えると、こうすることが一番だと鈴那は自分に言い聞かせた。
妊婦検診は一ヶ月に一度が二週間に一度になり、赤ちゃんもすくすく育っている。
検診の日は桐島が病院まで送ってくれ、待合室で待っていてくれる。何度か周りの妊婦さんに父親に間違えられていたけれど、桐島は訂正するのが面倒なのだろうか、否定はしなかった。
それに加え食材の買い物もしてくれる。実家に戻ろうと思っていたのに完全に桐島に甘えている状態だ。
それにしても、桐島はどんな思い出ここまでしてくれるのだろうか。そろそろ面倒だと思われないだろうかと、鈴那は心配だった。
桐島に会えるのは嬉しいけれど、嫌われたくない。そんなことばかりが気にかかる。
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