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鈴那が仕事を休むことになる少し前のこと。
「桐島、今日はパァっと飲みに行こうぜ」仕事が終わるとすぐに、佐藤が桐島を誘った。
しかし、「あぁ、今日はパス。ちょっと用事があるから」と桐島はその誘いを断り、鈴那を家に送って、そのまま帰宅した。
自宅に帰った桐島は、ソファに深く座り携帯の画面を眺めていた。表示されているのは愛美の番号。深いため息をついた桐島は、一度目を閉じて発信ボタンを押した。
「もしもし。今から会えないか？」
「いきなりどうしたんですか？」
「いつもそうだろ」
しばらくして愛美が部屋にやってきた。愛美は冷蔵庫から缶ビールを二本だして、桐島の向かいに座った。
「なんだか浮かない顔してますね」
「そうか？ 気のせいだよ」
桐島はビールを流し込んでテレビをつけた。バラエティー番組がやっていた。静かだった部屋が途端に賑やかになる。
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