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「いいだろう。穏便に済ませようではないか」
「流石はアリシア様。英断だねー」
内心の驚きを隠すようにジグルトはおどけた調子で言う。
半々くらいで殺し合いだと思っていたので、これはやはりツキが回っているのだろうか。
「もちろんタダでとは言わん。下手すれば戦争にまで発展するところを無罪放免にしようと言うのだ。それ相応のデメリットは背負って貰わんとな」
「内容にもよるが……まぁ前向きに検討しようじゃねーの」
基本的に超長寿種族は人間を敵視しているのがほとんどだ。
今は冷戦にも似た状態だけに、無罪放免で済ますにしても、何らかの『罰』は受ける必要があるだろう。
「ふっ。その物言いも新鮮でいいな。吾の周りは親愛に満ちておるのでな」
「そうかい」
「え、え? あれ、死ななくて、いい?」
アリナがキョロキョロと視線を漂わせていたが、彼らは構わず続ける。
「ほら、さっさと『罰』の内容を教えてくれよ。先に進まねーとどうしようもねーし」
「そうだな。では、発表しよう。此度の『不可侵条約』違反の『罰』は━━━」
「うわっ、うわわ! やったー! 死ななくていいんだー!!」
「…………ごほん。『罰』は━━━」
「お姉ちゃんー私生きられるよー!! ばんざーい!!」
「…………アリナは吾の邪魔をするのが好きなのか? わざとなのか?」
「いや、そこまでの度胸ねーだろ」
呟き、騒ぐ馬鹿女の頭をひっ叩き、顎で先に進めるようジェスチャーする。
『ぞんざいな扱いも新鮮だ』なんて囁き、アリシアはようやく『罰』の話に移る。
「なに、そう難しい要求をするつもりはないから安心しろ。━━━たまにでいい。遊びに来てはくれんか?」
…………絶対に厄介なことになる。
あまり頭のよくないジグルトでも、その程度のことは予想できた。
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