【暴走Ⅲ その壱 】

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「竜兄、疲れて寝ちゃった。ちょっと寝かすから、静かにしてね。」 小声で翔兄に言う。 『あぁ。分かった。竜も疲れてんだな。』 翔兄も小声で語る。 冷蔵庫からビールを取り、翔兄に渡す。 「ん。あんまり、無理し過ぎなんだよ。竜兄は。こっちが心配になるよ。」 『言っても平気だって言うしな。』 ビールを呑みながら翔兄が竜兄を見る。 「そうなんだよね。だから、尚更。なんか、私が竜兄の重荷になってるんじゃないかなって思う。」 『それはねぇだろ。竜はお前の顔見るだけで安心するって言ってたし。逆にお前に会えなくなったら、どうなるか分からねぇぞ。その方が怖いな。』 「そうなのかね。分かんないや。ところで、今日蓮兜兄は?」 そう言えば見てない。 『ん?あぁ。来てねぇな。』 「珍しいね。蓮兜兄が来ないとか。」 毎日の様に来てるのに。 『あいつも忙しいんじゃねぇの?それなりに。』 「そっか。ケンカしたとかじゃないでしょうね。翔兄。俺様だから、蓮兜兄も我慢出来なくなったとか?」 冗談だけど。 『そうかもな。俺に愛想尽かしたのかもな。』 えっ?今、何て? 「…えっと。本当に何かあったの?」 今日だけじゃなく、ここ何日か蓮兜兄を見てない気が……。 って、えっ?マジ? ……別れたのか?まさかねぇ。 『まぁ。俺が悪いんだけどな。ちょっと、一時は距離を置きたいってさ。少し考えたいって。自業自得なんだけどよ。やっぱり、いつも一緒に居たからな。なんつぅか。なぁ。』 寂しいのか。
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