【暴走Ⅲ その参】

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駐車場に車を止めて竜兄と一緒に家に入った。 門番さん達が居ない辺り、もう始まっているんだと思う。 竜兄と二人、大広間へ向かう。 そっと後ろの襖を開け中にこっそり入った。 途端。 近くに居た、どこぞの組の方に超見られてる。 軽く会釈をしてニッコリ笑ったら固まった。 『……蘭花お嬢?』 小声で確認される。 「はい。」 答えると 『会長~!蘭花お嬢が来られました!』 えっ? 言っちゃうわけ? 途端にその場に居る全員の視線が私に向いた。 イヤ~!!見ないでぇ~!! 「竜兄。逃げる?」 座ったまま竜兄に小声で言うと 『蘭花。諦めろ。ほらっ。組長が見てるぞ。行け。』 えー!マジ?! 『蘭~!こっち来い!』 笑顔で手招きしてるし! ハァ~!終わった。 諦めて組長さんの所へ行こうと立ち上がった瞬間。 何故か全員固まった。 最初の方、同様に。 そこはスルーして、とりあえず軽く会釈をしながら上座に居る組長さんの所へ移動する私。 「ど~も~。遅くなりました。」 『蘭!何だ!着物着てきたのか!すげぇ、綺麗だな!さすが俺の娘だ!なぁ!』 そう言って、その場の全員を見る組長さん。 その途端、まぁ何でしょう。 色んな声が聞こえました。 綺麗だとか何だとか。 あー。着物は綺麗だよね。 『蘭。まぁ。座れ。今から志稀の御披露目するところだ。おいっ!翔。』 と、組長さんが翔兄を呼ぶと返事をして翔兄が来た。 『この度は遠渡遙々、西極組本家に脚を運んで頂き、ありがとうございます。今日は忘年会のついでと言ってはなんですが、この場を借りて皆様にお見知りおきしておいてほしい者がいますので、紹介しておきます。志稀。こっち来い。』 翔兄、ちゃんとした挨拶出来るし! すげぇ。 と、感心していると志稀がひょっこりやって来た。 キャー!志稀。袴姿、超可愛い! 『こいつは、俺の一人息子です。ほらっ。挨拶しろ。』 『西極 志稀です!皆様。以後、お見知りおきを。』 ピシッと頭を下げる志稀。 ウヒョ~。偉すぎる! 凄く立派!後で褒めてやろう。 『志稀は俺の息子です。母親が他界し、これからは西極組の息子としてしっかり育てて行く所存です。これからも西極組同様、俺達親子の事宜しくお願い致します。』
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