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しばらくして、二人が帰ってきた。
ん?何か志稀が不貞腐れてる。
何かあったのか?
「志稀?どうしたの?竜兄が何かした?」
『何で俺なんだよ。何もしてねぇよ。』
座ってビールを呑みだす竜兄。
で、ブスッとしている志稀。
何なんだ?
「志稀~。どうした?蘭花に教えて。」
ニコッと笑って志稀を覗き込んだ。
『…竜さんが…蘭花の事好きなら強い男になれって…。ボク。蘭花より弱いから…蘭花好きじゃダメなの?』
あー。なるほどねぇ。
『志稀。違うだろ。お前が俺に蘭花を独り占めすんなって言ったんだろ。だから、蘭花を好きなら蘭花を守れるくらい強い男になれって言ったんだ。俺も蘭花を守れる為に頑張ったんだぞってな。そしたら、いきなり凹みやがったんだよ。』
あー。ねぇ。
それを聞いていた翔兄。
『志稀。竜はな、ずっと昔から蘭花を好きで、離れて居ても蘭花を守る為に苦労してきたんだ。竜がやっと蘭花に好きって気持ちが伝わったのも最近の事なんだぞ。今の志稀より、もう少し大きくなった位からずっと蘭花を好きだったんだ。分かるか?』
翔兄の話をジィと聞く志稀。
最後に大きく頷いた。
「志稀。蘭花の事好き?」
志稀に話しかけると
『うん!大好き!』
満面の笑みで答える。
「ありがと。蘭花も志稀の事は大好きだよ。だけどね。竜兄は私の特別な人なの。大好き以上の大切な人なの。分かってね。」
真剣な表情で聞いて頷いた志稀。
きっと志稀がもう少し大きくなって、また色んな人と関わる様になったらちゃんと分かる様になると思う。
志稀も大切な人がきっと出来る。
その時に私や竜兄の言ってる意味が分かる。
志稀が彼女を連れて来る日が楽しみだ。
きっと志稀は素敵な人を連れて来るから。
その時は、今日の出来事を笑いながら話してあげよう。
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