【暴走Ⅲ その参】

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それからしばらくして、瑠璃姉と佑さんが来た。 組長さんに挨拶に行って何やら楽しそうに話してた。 きっと、妊娠の報告をしたのだろう。 『蘭花ちゃん!ちょっと!着物だし!立って見せて~。』 相変わらずのテンションの高さで、こっちに来たかと思えばいきなり絡んでくる。 「お久しぶりです。体調どうですか?」 瑠璃姉の言葉はスルーして、挨拶する私。 『ん。順調よ。って、早く立って見せてよ!』 まぁ。スルー出来る訳もなく。 瑠璃姉だし。 言われた通り立って見せた。 それをジィ~と見る瑠璃姉。 しかも、後ろ向けとか斜め向けとか。 注文してくる。 瑠璃姉だし。 『……着物いいわね。蘭花ちゃん!凄く綺麗!私、着物の方のデザインもしてみよう!若者向けで。ねぇ!佑。』 『そうだな。案外、いいかもしれないな。どうせ、蘭花ちゃんモデルだろ?』 『当たり前よ!蘭花ちゃんに似合うものを作れば人気出るのよ。』 えっと。そうなんですか。 『瑠璃さん体調悪かったんですか?』 やっと会話に入れたらしい翔兄。 あれっ?翔兄知らないのか? 『えっ?私、翔に言わなかった?』 おいおい。瑠璃姉。 『何をですか?』 不思議そうに聞く翔兄。 『私、妊娠したのよ。赤ちゃんお腹に居るの。4月が予定日よ。』 『…マジ?!えっ?本当ですか?佑さん!』 超驚いてるよ。 『あぁ。本当だよ。』 ニッコリ顔の佑さん。 『えー!瑠璃さんが母親になるとか!想像つかねぇ。』 あー。本音出てますけど。 『何よ!何でよ!私だって子供の一人くらい育てられるわよ!失礼ね!』 あっ。怒った。
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