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それから、四人で近くの神社に向かった。
『やっぱり人が多いな。蘭花。はぐれるなよ。』
竜兄がそっと私の手を取った。
『竜さん優しい!羨ましい!私も彼氏欲し~い!』
紗江先輩が叫んでます。
『今日だけ俺が手繋いであげようか?』
來希がにやけながら紗江先輩に言った。
『同情は要らないわよ!尚更、淋しくなる!』
『別に同情とかじゃないけど。嫌ならいいし。』
『…じゃあ、今日だけ。』
俯きながら紗江先輩が手を差し伸べたら來希が手を握った。
おっ?この二人、もしかしていい感じ?
思わず竜兄と顔を見合せた。
まぁ。この二人は何だかんだで気があってるよな。
お互い素直じゃないだけで。
本当はお似合いなんじゃないか?
前を歩く二人は照れ隠しなのか、くだらない事で言い合いをしている。
でも、ちゃんと手を繋いだまま。
やっぱりお似合いだ。
人混みを掻き分ける様に歩き、やっと参拝出来た。
お賽銭を入れて、手を合わせる。
『蘭花。何お願いしたんだ?』
『ん?教えない。人に教えたら叶わなくなるんだよ。』
《これからも竜兄と二人。幸せだと思える時間がいつまでもずっと続きますように。》
私の願いはいつも竜兄との事。
色々あったから尚更思う。
不安はないけれど、何もないとも言いきれないから。
それでも、何があっても竜兄との関係が無くなる事は考えられない。
この人以外を愛する事は二度と無いと分かっているから。
竜兄も私と同じ気持ちでいてくれたらと願うだけ。
『よしっ。参拝出来たし、行くか。』
「ん。そうだね。あれっ?紗江先輩と來希は?」
辺りを見渡すが居ない。
『はぐれちまったな。まぁ。こんだけ人が多ければな。とりあえず、入口付近に居れば出て来るだろ。』
まぁ。この人混みの中、探す方が無謀かも。
竜兄と手を繋ぎ入口付近に向かった。
途中、御守りと正月飾りを買った。
正月飾りは詩音さんに頼まれた。
『ここら辺に居れば分かるだろ。蘭花。大丈夫か?疲れたんじゃないか?』
「ん?大丈夫だよ。それにしてもさ。あの二人。どう思う?」
竜兄に聞いてみた。
『あれだよな。お互い素直じゃないだけだろ。お似合いなんじゃねぇか?』
「やっぱり竜兄もそう思う?私もそうだと思うよ。このまま、付き合えばいいのにね。」
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