【暴走Ⅲ その参】

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それから、四人で近くの神社に向かった。 『やっぱり人が多いな。蘭花。はぐれるなよ。』 竜兄がそっと私の手を取った。 『竜さん優しい!羨ましい!私も彼氏欲し~い!』 紗江先輩が叫んでます。 『今日だけ俺が手繋いであげようか?』 來希がにやけながら紗江先輩に言った。 『同情は要らないわよ!尚更、淋しくなる!』 『別に同情とかじゃないけど。嫌ならいいし。』 『…じゃあ、今日だけ。』 俯きながら紗江先輩が手を差し伸べたら來希が手を握った。 おっ?この二人、もしかしていい感じ? 思わず竜兄と顔を見合せた。 まぁ。この二人は何だかんだで気があってるよな。 お互い素直じゃないだけで。 本当はお似合いなんじゃないか? 前を歩く二人は照れ隠しなのか、くだらない事で言い合いをしている。 でも、ちゃんと手を繋いだまま。 やっぱりお似合いだ。 人混みを掻き分ける様に歩き、やっと参拝出来た。 お賽銭を入れて、手を合わせる。 『蘭花。何お願いしたんだ?』 『ん?教えない。人に教えたら叶わなくなるんだよ。』 《これからも竜兄と二人。幸せだと思える時間がいつまでもずっと続きますように。》 私の願いはいつも竜兄との事。 色々あったから尚更思う。 不安はないけれど、何もないとも言いきれないから。 それでも、何があっても竜兄との関係が無くなる事は考えられない。 この人以外を愛する事は二度と無いと分かっているから。 竜兄も私と同じ気持ちでいてくれたらと願うだけ。 『よしっ。参拝出来たし、行くか。』 「ん。そうだね。あれっ?紗江先輩と來希は?」 辺りを見渡すが居ない。 『はぐれちまったな。まぁ。こんだけ人が多ければな。とりあえず、入口付近に居れば出て来るだろ。』 まぁ。この人混みの中、探す方が無謀かも。 竜兄と手を繋ぎ入口付近に向かった。 途中、御守りと正月飾りを買った。 正月飾りは詩音さんに頼まれた。 『ここら辺に居れば分かるだろ。蘭花。大丈夫か?疲れたんじゃないか?』 「ん?大丈夫だよ。それにしてもさ。あの二人。どう思う?」 竜兄に聞いてみた。 『あれだよな。お互い素直じゃないだけだろ。お似合いなんじゃねぇか?』 「やっぱり竜兄もそう思う?私もそうだと思うよ。このまま、付き合えばいいのにね。」
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