【暴走Ⅲ その参】

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『詩音さん。大人しく寝たか?』 冷蔵庫にビールを足して、冷えたビールを二本取り出しながら竜兄が聞く。 「ん。なんとかね。全く。父さんも詩音さんほったらかさないで欲しいよ。」 私も座りビールを開ける。 『たまにはいんじゃねぇか。詩音さんも姉御として毎日大変だろ。組長もまだ呑んでるだろうし。』 「まぁ。そうだけどさ。ズバズバと言うのはやめてほしいよね。恥ずかしい。」 『オープンでいいじゃねぇか。お前の家族皆、あんな感じだしな。俺も楽だぞ。気使わねぇし。』 確かにねぇ。 オープン過ぎるよねぇ。 「昔から知ってるしね。竜兄も蓮兜兄も普通にウチに馴染んでるしね。ある意味、私も楽だね。親同士も仲良くしてるみたいだし。」 『あー。そう言えば、明日辺り俺の親もこっち来るって言ってた。』 「そっか。会社も休みだしね。竜兄の両親もゆっくりしてけばいいかもね。」 いつもバタバタ帰るからね。 『だな。温泉でも行こうかとか言ってたし、ゆっくり出来るかもな。』 二人でツマミを食べながらビールを呑み、色んな話をする。 ん。いい正月が迎えられそう。 「紗江先輩と來希。どうなったかな?もう、付き合ってたりしてね。」 『意外とそうかもしれねぇぞ。來希。あぁ見えて、あんまり女と喋らねぇしな。ホストは仕事だから仕方なくだろうけど。翔が言ってたぞ。お前と仲良くなってから來希が変わったってな。 あいつも遊んでた時期もあったみたいだけど、全部相手から言い寄られてみたいだしな。女に優しくする感じでもなかったから、冷めた奴だって思ってたみたいだしな。』 へぇ~。意外。 「そうなんだ。昔の來希とか知らないし、私は初めて会った時から今の來希しか見てないからね。あんまり、ピンとこないんだよね。」
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