【暴走Ⅲ その参】

53/99
前へ
/334ページ
次へ
翔兄がそっちに出ている間、志稀を連れて部屋に戻った。 蓮兜兄と竜兄も一緒だ。 志稀にお絵かきセットを渡し、お絵かきをさせる。 「蓮兜兄さ。私思うんだけど。翔兄が跡目を継いだら、蓮兜兄は言えば詩音さんの役目をしなきゃいけない訳じゃない?大丈夫?」 急に思う。 『蘭花。そりゃ、蓮兜に失礼だろ。』 竜兄が言う。 「いや。そう言う意味じゃなくてね。蓮兜兄が出来るとか出来ないとかの問題じゃなくて、本当にこっちの世界に脚を踏み入れる覚悟なのかなって。」 一度踏み込んだら抜け出せない世界だから。 『ん。蘭花ちゃんの言いたい事は分かるよ。でも、大丈夫。おれも小さい頃から、西極組の事は大体把握してるつもりだし。生半可な気持ちで翔と一生共に生きるって決めた訳じゃないから。全て分かった上で決めた事なんだ。勿論、親父の跡を継いで西極組の専属医としてもやって行くつもりだから。安心して。』 しっかり考えてんだね。 「そっか。そうだよね。ゴメンね。余計なお世話だったね。」 『いや。蘭花ちゃんの気持ちは嬉しいよ。心配してくれたんだよね。ありがとう。増築終わったら近くに住む事になるから、よろしくね。』 フワッと微笑む蓮兜兄。 「うん。こちらこそ、ウチの馬鹿兄貴をよろしくお願いします。あっ。あと、志稀の事もよろしくお願いします。」 『ん。分かった。志稀も翔もしっかり躾するから大丈夫だよ。』 お絵かきをしている志稀の頭を撫でながら蓮兜兄が言った。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加