【暴走Ⅲ その壱 】

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『あれ?そう言えば、蓮兜は?今日来てねぇの?』 あー。やっぱり、突っ込みますか。竜兄。 『あぁ。来てねぇな。』 ビールを呑みながら答える翔兄。 「忙しいんだってさ。だから、一人じゃ寂しくてここに来たんだよ。ねぇ。翔兄。」 『別に寂しくねぇよ。』 素直じゃないねぇ。 『蓮兜と何かあったのか?相談くらいのるぞ。』 優しいねぇ。竜兄は。 『あぁ。ありがとな。でも、今はまだ話せねぇんだ。悪いな。蓮兜が結論出すまで待ってな。』 そんなに深刻な事なのか? 「まぁ。二人の問題だし、私達は話聞く位しか出来ないからね。話せる時が来たらいつでも聞くから。ねっ。竜兄。」 『だな。翔。あんまり深く悩むなよ。禿げるぞ。』 おいおい。 『禿げたくはねぇな。』 ニッと笑う翔兄。 良かった。さすが、幼馴染み。 扱い方をよくご存じで。 それから、三人でくだらない話で盛り上がった。 翔兄と蓮兜兄。 気付けば、ずっと一緒に居たな。 小さい頃からずっと。 蓮兜兄は別に弱い訳じゃないのに、女性の様な容姿だったから、絡まれる事もからかわれる事もあって。 でも、いつも翔兄が怒って蓮兜兄と二人で相手を泣かしてた様な気がする。 幼い時の記憶だけど、二人はいつもそんな感じだった。 付き合ってるって、聞いても納得した。 あれだけ一緒に居たから、当たり前みたいに思った。 それが、蓮兜兄が距離を置きたいと言った事が逆に信じられない。 何があったのか凄く気になるけど、それは二人の問題だから。 私達が口を出す事じゃない。 早く元の二人に戻ってくれたら良いな。
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