【暴走Ⅲ その参】

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そんなしていると、矢部さんが来た。 『失礼します。若。お客人です。』 『あぁ。分かった。』 翔兄は立ち上がり玄関へ向かった。 「來希かな?って、言うか矢部さん。休みでしょ?出掛けないんですか?」 因みに、矢部さんの言う若とは翔兄の事。 歳は翔兄よりだいぶ上だけど、ここでは歳より立場が翔兄の方が上だから、敬語だ。 まぁ。矢部さん、私にも敬語だけど。 『はぁ。自分は休みでも組に残ってますので。何かあったら呼んで下さい。では、失礼します。』 矢部さんは一礼して出て行った。 本当。真面目だなぁ。矢部さん。 『來希来たぞ。』 翔兄が來希を連れて来た。 『こんばんは。明けましておめでとうございます。』 「明けましておめでとう。來希。」 『おぉ。おめでとう。』 新年の挨拶を交わし、翔兄の横に座る來希。 『呼んでくれてありがとう。正月、一人でいつも暇なんだよねぇ。っていうか、何でこのメンバーなの?』 キッチンへ向かいビールを取って來希と皆に渡し答える。 「父さん達、温泉旅行に行ったんだ。志稀も連れて、竜兄の両親と。蓮兜兄は実家。で、残されたメンバーが私達。來希も一人かもって、呼んだんだ。」 『へぇ~。温泉ねぇ。に、しても蓮兜さん居ないと何か違うよね。翔さん、淋しくて俺呼んだんじゃないんですか?俺、蓮兜さんの代わりは無理ですよ。』 翔兄を見て來希が言った。 『アホか!お前が蓮兜の代わりになるわけねぇだろ。』 來希の頭を叩く翔兄。
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