【暴走Ⅲ その参】

62/99
前へ
/334ページ
次へ
『分かってますよ。竜さんに敵わないのは蘭ちゃんを見てればじゅうぶん。でも、好きでいる位はいいでしょ。蘭ちゃんは俺の憧れの女ですね。今まで出逢った中には居なかったですよ。』 大袈裟だろ。 『まぁ。本人、目の前にしてそこまで言えるから本当に憧れてんだろうな。俺には理解出来ねぇけど。』 おいっ!翔兄。 『翔も何だかんだ言って、小さい時から一人の時は蘭花可愛がってただろうが。自慢の妹だろ?』 翔兄をにやけながら見る竜兄。 『バカか。こんな生意気な妹とかあり得ねぇ。短気だし、すぐ突っかかってきやがるし。』 『またまた。翔さんも素直じゃないですよねぇ。蓮兜さん居たら、そんな事言えないでしょ。蓮兜さんに怒られるから。』 あっ。來希。また、叩かれた。 そんな感じで四人で盛り上がる飲み会。 たまにはいいね。 ゆっくり語れるこの感じ。 「あー。翔兄。矢部さんって、何処にも出掛けないの?組に残ってるって言ってたよ。他の組員さん達は呑みに行ったりしてるんでしょ?矢部さんにも声かけたら?出掛けていいって。気使ってるんじゃない?」 急に矢部さんを思い出した。 『矢部は出掛けねぇだろ。昔からそうだ。親父に着いてく以外は、用が無い限り組からはでねぇな。本当は今日だって、親父が心配だから着いて行きたかったはずだしな。ってか、本当はついて行かなきゃいけねぇんだけどな。あのバカ親父。浮かれちまって、矢部に着いて来なくていいって言ってたしな。だから、何かあった時の為にすぐ動ける様に組に残ってるんだろ。』 「ふ~ん。矢部さんって、本当父さんに忠実だよね。真面目って言うか何と言うか。」 『矢部さんって、さっきの人?』 來希が聞く。 『あぁ。あの人、俺らが小さい時から居たよな。いつも、無表情だった記憶がある。組長の側近だったよな。』 竜兄が言った。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加