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『親父は矢部の命の恩人だからな。一生親父に就いて行くって覚悟決めて西極組に入ったんだ。元々はいいとこの坊っちゃんだよ。』
「あー。父さんもそんな事言ってたね。何で家を捨ててまで極道の世界に入ったんだろう。」
『ここだけの話にしとけよ。あいつな、両親を殺っちまったんだよ。』
!!!親を?!
「……ウソでしょ?だって、いいとこの子だったんでしょ?」
『あぁ。だけどな、酷い虐待受けてたんだ。家を継がせる為にな。あいつの家も極道だったんだよ。あいつの親父はすげぇ酷い奴だった。母親も若い男と遊んでばっかりでな。組でのヤク使用は当たり前。暴力沙汰にヤクや銃の売買。まぁ。酷い組だったな。そこに、あの矢部だろ。どう育ったのか、あいつだけはまともで真面目な奴だったんだ。親父がそんな事する度に止めてた。でも、相手は親とは言え極道だからな。まして、ヤクで頭もまともじゃねぇ。小さい頃から殴られ蹴られ。それでも実の親だ。高校生位になってもそんな調子でな。身体はって止めたりもした。だけど、結果はいつもあいつがボロボロになるだけだ。高校卒業した位の頃か。西極組が地方に出向いて傘下を増やして行ってたのが。その頃に出逢ったらしい。まぁ。いい噂が無い組だったからな。西極組が話し合いを持ちかけても無視だ。だから、出向いたんだ。あいつの親父の組に。その時に見た光景は凄かったみたいだな。まず、玄関に組員達が数人倒れてた。血まみれでな。』
私も竜兄も來希も翔兄の話に息を飲んだ。
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