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「矢部さん。笑えてるよ。気持ちに素直になれば、自然にそうやって笑えるんだよ。父さんが言った何も考えずに笑えってそう言う事だよ。」
『はい。何だか、蘭花お嬢のほうが自分より年上みたいですね。お恥ずかしい。』
はっ?
「矢部さんより年上とか。矢部さん。私、まだ17歳です!普通、そこは私より年下みたいだ。でしょ?失礼な!」
すると、今まで黙って聞いていた翔兄が
『プハッ!アハハハッ!矢部より年上とか有り得ねぇ。間違ってるだろ!』
大爆笑。
『俺、30過ぎの女と付き合った覚えはねぇぞ。』
竜兄がボソッと言う。
『アハハハッ!矢部さん。面白い!』
來希も爆笑。
『あっ!いや!そんなつもりじゃないです!蘭花お嬢!あの!蘭花お嬢の考え方があまりにしっかりしていたので!本当にすいません!』
慌てて誤解を解こうとする矢部さん。
それが、またおかしくて皆で笑った。
「アハハハッ!矢部さん。分かった分かった。わざと言ったんだよ。そんなに必死にならなくていいから。」
お腹を抱え笑いながら矢部さんに言うと
『……あー。わざと…ですか。…アハッ。アハハハッ!自分、必死になって馬鹿みたいですね!』
矢部さんは心から笑えた。
良かった。
今日、こうして何気なく一緒に過ごし矢部さんの本音が聞けた事。
矢部さんが抱えていた沢山の罪の意識が消えていくのが分かった。
ほどよく皆、酔いが回って楽しく過ごしたこの時間を矢部さんが本当に生まれ変わった日だと覚えていてほしい。
自分が一から育ててもらう原点に戻ったんだと思ってほしい。
「ねぇ。矢部さん。これからも、西極組の一員として父さんの側近として、この西極組を支えていってね。今の矢部さんには出来るから。この馬鹿兄貴の事も宜しくね。」
『おい!こら!蘭花!てめぇ、また馬鹿兄貴とか言いやがったな!』
あー。煩いのきた。
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いのよ!ば~か。ば~か。ば~か。」
『てめぇ、本気で殺るぞ!あぁ?!』
「私より弱いくせに!よく言うよ!やるか?」
立ち上がり指で来いと挑発する。
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