【暴走Ⅲ その参】

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『惚れないで下さいよ。こいつは、俺のですから。』 そう言って私の身体をグッと引き寄せた竜兄。 あの。恥ずかしいからね。 『あー!!竜さんの彼女だって分かってても目の前でイチャイチャされたら腹が立つ~!』 突然、叫ぶ來希。 『羨ましいだろ。來希。触んじゃねぇぞ。』 アハッ。何なんだ? 『本当に羨ましい!!俺も蘭ちゃんみたいな彼女欲しい~!』 「紗江先輩いるじゃん。」 『何で最初に話が戻ってるの?だから、それは無いから。』 そうか? 『紗江さんって、あの蘭花お嬢の親友ですか?可愛い子でしたよね。明るくて。』 矢部さんが聞いてくる。 「そうそう。いつも元気がいい人です。」 『あの子初めて来た時、玄関で若いのが何人か門番で居たんですけど、全然怖がる事もなく逆にニッコリ笑って挨拶したんですよ。度胸のある子だと思いましたね。』 へぇ~。さすがだ。紗江先輩。 『紗江ちゃんなら、お前がホストだろうが族の総長だろうが関係なく接すると思うけどな。』 翔兄が言った。 『まぁ。確かに。蘭花と一緒で目の前で浮気とか目撃しない限り、仕事は仕事だって割り切れるタイプかもな。瑠璃さんと似てサッパリしてるしな。現に蘭花が信頼してて親友として付き合いしてる位だからな。そこらの女とは違うだろ。』 竜兄が言った。 『そう言われたらそうですけど。まず、俺がどうとかの前に早坂さんが俺の事どう思ってるかじゃないですか。こっちでそんな話したところで、どうにもなりませんよ。』 まぁ。確かに來希の言う通りだね。
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