【暴走Ⅲ その参】

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竜兄と二人、リビングへ向かった。 「あっ。ちゃんと片付けて寝たんだ。」 ソファーの前のテーブルは綺麗に片付けてあった。 『あぁ。矢部さんが片付けてたから一緒にしたぞ。翔と來希は邪魔だったから寝かせた。』 ん。だろうね。 「起きてから私が片付けるから、良かったのに。」 『矢部さんが気つかったんじゃねぇの?って、ご飯作ってあるぞ。』 キッチンへ向かった竜兄がダイニングテーブルを見て言った。 「えっ?組員さん達居ないのに何で?」 私も行って見ると、四人分の食事が置いてあった。 『あっ。置き手紙。』 テーブルの真ん中に手紙が置いてあった。 「置き手紙って。誰だ?」 紙をとり読んでみる。 《おはようございます。夕べは楽しい時間を過ごさせて頂きありがとうございました。蘭花お嬢に言われた事凄く 自分の心に響きました。あれから、一人で色々考えました。そのケジメとして、親父が下さった休暇で両親の墓に行って自分の中にあるわだかまりを全て吐き出して来ようと思います。そして、過去の全てを捨て新たな気持ちで西極組の一員として親父の側近として責任を全うしたいと思います。蘭花お嬢。本当にありがとうございました。 追伸。料理の出来る男目指し、とりあえず朝食作ってみました。皆さんで是非食べて下さい。 矢部 》 「だってさ。竜兄。」 一緒に手紙を読んでいた竜兄を見て微笑む。 『良かったな。お前のお陰だな。って言うか矢部さん。お前に気に入られようとしてんのか?料理が出来る男目指しとか。やらねぇって、さんざん言ったのにな。』 「何の話してたんだか。男同士で。まっ、良かったじゃん。ほらっ。せっかく矢部さんが作ってくれたんだから食べよう。ねっ?」 竜兄を座らせ炊きたてのご飯をついであげた。 ぶつぶつ言いながらも食べる竜兄。 私も美味しく頂きました。 「やっぱり、矢部さん料理上手だよね。おせちだけって言ってたけどさ。」 『あれだろ。組に入りたての頃は、若手が料理作るんだろ?矢部さんもさんざん作ってきてるはずだからな。』 あー。そうか。 「じゃあ、おせちは毎年の事だけど朝食とか久しぶりに作ったかもね。美味しかった。ご馳走さま。」
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