【暴走Ⅲ その壱 】

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ビールを呑みながら、苦笑いをする翔兄が凄く切なかった。 「大丈夫だよ。蓮兜兄だって、翔兄の事大好きだから悩むんだし。付き合ってれば、色んな事あるよ。私達だって、今は仲良いけど色々あったし。時間が解決してくれるから。大丈夫。」 うん。翔兄と蓮兜兄なら大丈夫。 『そうだな。蓮兜を信じて待ってるしか、今の俺には出来ねぇしな。』 『ん。待っててやれよ。蓮兜はお前の事、一番分かってくれてるから。』 私もそう思う。 「よしっ!今日はとことん呑もう!!」 ビールじゃ酔わない!と、下に居る組員さんにウィスキーやら何やらお酒を持って来させる翔兄。 数名の組員さんも翔兄に捕まり、付き合わされていた。 可哀想に。 で、ベロベロに酔っ払いました。 翔兄が。 組員さん達は、適当な所で合図をして翔兄から解放してあげた。 仕事中だしね。 「もう!翔兄。呑み過ぎ!竜兄。部屋に運ぶから手伝って。」 酔っ払って寝てしまった。 両サイドから翔兄を抱えて、部屋まで運びベッドに寝かせた。 『……蓮兜…。』 ……寝言か。 「相当きてるね。大丈夫かな?」 『どうだろうな。ここまで酔っ払う翔は初めて見たな。』 本当に大丈夫だろうか。 いつも一緒に居たから、数日会わないだけで翔兄が不安定になってる。 呑む時もいつも蓮兜兄が居て、ある程度の所で止めてたから、こんな酔い方はしなかったんだ。 やっぱり、翔兄には蓮兜兄が必要なんだと思った夜だった。
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