【暴走Ⅲ その参】

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…はっ?…今、何て言った? …えっ?…声…まさか…! マジ!? 『はっ?あぁ。さっきの。ってか、勝手にきいてんじゃねぇよ。あの声も聞いていいのは俺だけなんだよ。』 おいっ!何言ってんだ!竜兄! 『俺だって聞きたくて聞いたんじゃないですよ!トイレに行ったらたまたま聞こえたんです!やっと部屋で落ち着いて降りてきたのに!来てみれば今度は濃厚キスシーンとか。マジで凹みますよ!俺、欲求不満になるし…あー!!もう!蘭ちゃん!!』 えっ?私? 「…あー。あれじゃない?寝惚けてた…とか?」 とりあえず誤魔化してみた。 それなのに竜兄は私の腕を引き自分の膝の上に座らせた。 そして、また離れられない様に両手を腰に回してくる。 「もう!ちょっと!竜兄!恥ずかしいから!」 目の前には來希。 『何で?別に普通だろ。蘭花は誰のだ?言ってみ?』 えぇー!! 「…誰のって。私。物じゃないし。」 『へぇ~。そんな事言うのか。』 まさかのドS降臨?! 「…竜兄です。」 『だな。って訳だ。來希。いつまでも蘭花にこだわってないで、お前は他の女で欲求不満解消しろよ。』 それが言いたかったのかよ! 『竜さん。マジで凹むから。俺。話聞くだけなら、まだいいけど。さっきの濃厚キスシーンといい。もう、マジで凹む。』 項垂れる來希。 「竜兄もあんまり意地悪しないで。來希。私なんかより、いい女は沢山いるから。ねっ?」 力を緩めた竜兄から下りて、隣に座った私。 なんだか來希が可哀想になってきた。 まぁ。原因は私だけど。 『蘭ちゃんよりいい女なんて居ないから。』 項垂れたままの來希。
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