【暴走Ⅲ その参】

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『あ~。だりぃ~。呑みすぎた。』 そこへダルそうに入ってきたのは翔兄。 『だろうな。あんだけ呑めば。』 翔兄を見て竜兄が言った。 『まぁな。ん?來希どうした?』 項垂れ翔兄に反応しない來希を見る。 「…來希も呑みすぎたみたい。」 翔兄に知られたら絶対、面倒くさい。 『あぁ。俺が羨ましいらしいぞ。蘭花を諦められないってよ。』 竜君。黙って。 『まだ言ってんのか?夕べも確かそんな話ばっかりしてたな。矢部も加わって。そう言えば、矢部は?まだ起きてねぇのか?』 おっ。話がそれた。 「あっ!矢部さんね。これこれ。読んでみて。」 テーブルに置いていた手紙を翔兄に渡した。 『ふ~ん。矢部も成長したな。良いことじゃねぇか。んじゃ、矢部の朝飯でも食うか。來希。食ったのか?』 手紙を読みダイニングテーブルへ向かった翔兄。 「そうだよ。來希。ほらっ。矢部さんが朝御飯作ってくれたんだよ。食べなよ。ねっ?」 言ってみるが項垂れたまま、ため息をつく來希。 相当、凹んでますね。 『來希。本当にどうした?旨いぞ。早く食え。』 何も知らない翔兄は一人でバクバク食べている。 『ハァ~。翔さんはいいですね。蘭ちゃんと兄妹で。俺も蘭ちゃんと兄妹なら、何とも思わなかったのかなぁ。ハァ~。』 『はっ?何の話だよ。また、竜に虐められたのか?』
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