614人が本棚に入れています
本棚に追加
『俺は現状を教えてやっただけだ。』
翔兄の言葉に返す竜兄。
『現状って、何だ?見せつけられでもしたか?來希。』
『見せつけられるどころじゃないですよ。蘭ちゃんの艶かしい声でも凹んだのに今度はソファーで濃厚キスシーンですよ。さすがに俺も凹みますよ。』
のっそり立ち上がり、翔兄の前に座る來希。
『プッ。マジか。そりゃ凹むな。理想の女がそんな事してんの目の当たりにしてたら。まぁ。でもこいつら俺らの前でもいつもいちゃついてるからな。気にすんな。』
笑いながら翔兄が言った。
『翔さんは蓮兜さん居るし、見慣れてるからそんな言うかもしれませんけど。一人とか悲し過ぎるでしょ。ハァ~。』
『まぁな。竜。あんま來希虐めんなよ。こいつこれでも蘭花が初恋みたいなもんだぞ。刺激が強すぎる。』
食べ終わりソファーに来た翔兄。
『刺激って、童貞じゃあるまいし。さんざん遊んで来ただろうが。』
フッと笑いながら竜兄が來希を見た。
『遊びはとっくにやめてます。翔さんの言う様に蘭ちゃんは俺の初恋なんですよ。ここまで一人の女に虜にされたのは初めてなんですけど。蘭ちゃん全然振り向いてくれないし。まぁ。キスはしたけど。』
おーい。ちょっと。來希君。
「っちょ。あれは、來希が無理矢理だったでしょ!変な言い方しないでよ!」
『マジ?お前らキスはしたの?竜。知ってたか?』
面白そうに竜兄を見る翔兄。
『あぁ。聞いた。それもすげぇ腹立ったけどな。色々あった時は來希が居たから助かったってのもあるし。まぁ。俺はその位じゃ別にどうって事ないな。』
『えっ?じゃあ、蘭ちゃんにキスしていいの?』
何でだよ!
『アホか。昔の事を言っても仕方ねぇだろって事だよ。今度したら殺す。』
怖いよ。竜君。
「もう。ちょっとさ。正月早々、こんな話やめようよ。バカらしい。」
同じ話の堂々巡りで飽きた。
『バカらしいって。蘭ちゃん、酷い!』
また凹む來希。
「もうっ!來希。めんどくさい。いちいち凹むな。紗江先輩でも呼ぼうか?少しでも気が紛れるんじゃない?」
『何で早坂さんが出てくる訳?』
『あー。いいかもな。蘭花。紗江ちゃん呼べよ。皆でどっか行くか?』
竜兄の提案により紗江先輩を誘って出掛ける事になりました。
最初のコメントを投稿しよう!