【暴走Ⅲ その参】

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『あっ!雪降ってきた!』 來希の言葉に全員が外を見た。 「本当だ。だから、凄く寒いんだ。でも、綺麗だね。冬の海に雪とか。」 『だな。こんな正月もいいな。』 隣で竜兄が微笑んだ。 『雪~!積もるかな?!蘭花ちゃん!外行こう!ねっ?』 えー!紗江先輩元気過ぎ! 「無理です!私、寒いのダメですもん。凍え死ぬ!」 断然拒否! 『えー!せっかく雪降ってるのに~!遊ぼうよぉ。翔さんは?』 次のターゲット。翔兄。 『俺も蓮兜もパス。さみぃ~し。なぁ?』 『ん。この歳でさすがに雪の中、遊べないよねぇ。ごめんねぇ。紗江ちゃん。來希と遊べば?』 翔兄と蓮兜兄にも振られた紗江先輩。 素早く來希を見た。 あっ。こいつは行きそう。 だって、目がキラキラして行きたそうだし。 『柳希君。行く?』 紗江先輩も思ったらしく、にやけながら聞く。 『行く~!せっかくだし!よしっ!レッツゆきー!!』 と、まぁ。 元気なお二人さんは雪の降る中、もの凄い楽しそうに外に出て行った。 「相変わらず元気だな。あの二人。学校でも昼休みずっと、あのテンションだからね。」 窓の外の二人を見て思わず笑みが溢れる。 『お前も良い友達出来たな。あの二人が居たら、落ち込む暇とかねぇだろ。』 竜兄も窓際に来て、私の頭を撫でた。 「ん。凄くいい人達だよ。大好き。」 『妬けるな。俺の知らない時間をあの二人と過ごしてるんだもんな。俺はあいつらが羨ましい。でも、一番は俺だろ?』 「当たり前でしょ。竜兄は私の特別だから。」 そう言うと、後ろから抱き締められた。 『おーい!お前ら、俺らの存在忘れてねぇか?イチャイチャすんなら、部屋でしろよな。』 あっ。忘れてた。 「部屋って言えば、部屋足りるの?私と竜兄は一緒でしょ?翔兄と蓮兜兄も一緒でいいでしょ?4つ部屋あった?」 そうだよ。どうすんだ? 『あぁ。部屋自体はあるんだけどな。今、使えるのは3部屋だけだな。あんまり来ねぇから、他の部屋は物置になってるみたいだしな。』 「3部屋だったら、私が紗江先輩と一部屋使おうか。」 そうなるよな。 『あぁ?!俺が蘭花と一緒だろ。』 いやいや。竜兄。我が儘言わない。
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