【暴走Ⅲ その壱 】

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それから、二人でゆっくり寝た。 朝方、トイレに起きてまた部屋へ戻ろうとした時。 ん?翔兄? 翔兄の部屋から何か聞こえる。 そっと覗くと、ベッドに凭れタバコを吸いながら翔兄が泣いていた。 声を押し殺して泣いていた。 その姿があまりにも辛そうで、胸が苦しくなった。 いつも意地悪ばっかりの翔兄だけど、私が辛い時は側に居てくれた。 余計なお世話かもしれないけど、蓮兜兄に話を聞いてみようと思った。 私に出来る事は、それ位しかないから。 こんなにも辛そうな翔兄を初めて見たから。 そっと部屋へ戻り、またベッドに横になった。 竜兄の寝顔を見ながら思う。 竜兄も私に会えなかったあの時。 ああやって、翔兄の様に一人で泣いていたんだろうか。 一人で全てを抱えて、苦しんだんだろうか。 辛かったのは私だけじゃなかった。 竜兄も辛かったんだと思う。 昔も今も私の為に全てを注いでくれてる竜兄だから。 きっと、罪悪感や後悔で押しつぶされそうだったと思う。 翔兄も竜兄もそして蓮兜兄も心から愛する人とずっと一緒に居たくて苦しい思いを持っていたんだ。 竜兄の髪をそっと撫で囁く。 「ごめんね。辛かったよね。でも、ありがとう。竜兄。」 私を心から想ってくれて、ありがとう。
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